2021/06/18 17:00
テレビに出ているタレントさんのお洋服、
ふらっと入ったラグジュアリーブランドのショップに並んでいるお洋服、
服好きなお友達が来ているお洋服、
あなたはこれまで「この服、値段が普段買っている服と一桁違う」と感じられたことはありますか?
またはすでに服が好きな方は、「なんでそんなに高い服を買うの?」と言われた経験はないでしょうか?
食べ物や雑貨など以上に、服には同じようなデザインでも値段が開いているものが多くあります。
しかしその理由について、深く知っている方はあまりいらっしゃいません。
服に興味がない方は「なんであんなに高いのか訳がわからない」と遠ざかったり、逆に高い服を買っている方も「よくは知らないけど相場がこんなものだから」と知らないままにしてしまうからです。
しかし、どちらの立場の方にとっても、正しい知識をつけることは正しい選択への大事な一歩です。
今回の記事では「高い服と安い服って何が違うの?」というシンプルな疑問に、2つの視点から答えてまいります。
2つとは、「服そのものの違い」と「作り方の違い」です。
もちろん高い服にも安い服にも様々なものがありますので一概には言えませんが、ご参考にはしていただけるかと存じます。
今回は、当店でお取り扱いさせて頂いている「山内」のシャツ(超高密度バックサテンシャツ 税込¥37,400-)と、コストパフォーマンスの高さで知られるUNIQLOさんのシャツ(ファインクロスストレッチスリムフィットシャツ 税込¥3,289-)を比較してまいります。
実に10倍以上の価格差がありますが、どのような点が異なっているのでしょうか?
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服の作りの違い
一つ目の違いは生地感です。
写真では伝わりづらいところではありますが、UNIQLOのシャツに比べると山内のシャツは光沢があり奥行きのある表情。
肌触りもストレスのない滑らかな質感です。
特に山内は糸からこだわって服作りをされているため、世の中に出回る洋服の中でも特に上質な仕上がりです。
山内のシャツ生地に使われているのは非常に細い糸であるため、密度が非常に高くなります。
UNIQLOの生地もかなり密度はあり普段使いには十分ではありますが、高級感や存在感ではかなりの差がございます。
次は縫製の部分。
少々見づらいですが、襟のステッチを見比べて頂くと、違いに気づいていただけるかと思います。
UNIQLOに比べ、山内のステッチはかなり細かく美しい仕上がりです。
ステッチを細かくするには、その分時間がかかってしまうため、手間がかかる仕様です。
それによって見え方も上品で美しく、細部まで洗練された印象になります。
使われているパーツも当然異なります。
このシャツでは特にボタンの部分。
UNIQLOのボタンはポリエステル製なのに対し、山内のシャツは貝ボタンを使用しております。
貝ボタンとはその名の通り貝を削って作られたボタン。
真珠と同じ成分であることからもわかるように、貝ボタンは光を上品に反射し、まるで宝石をつけているような高貴さがあります。
ボタンの付け方も差があり、UNIQLOでは機械付けをしているのに対し山内は手付け。
裏側の美しさやボタンの取れにくさに大きく影響します。
今回のテーマとは逸れますが、他にもパンツのジップなどはクオリティーが分かれやすいパーツです。
細かな仕様にも違いがあります。
例えば袖の作り。
シャツの袖は基本的には一枚の布からできていますが、山内のシャツは袖が2枚の布からできております。
そのため、より着た人の身体にフィットし、快適な着心地を実現しております。
また、シャツを裏返してみると縫い目の裏側も異なることがわかります。
UNIQLOの方は一般的なシャツと同じ折り伏せ縫いという方法で縫われているのですが、山内は袋縫いという、ポケットなどに使われるような方法で縫われています。
それにより、サイド部分の固さが和らぎ、着た時のストレスが軽減されています。
このシャツは全体的に、裏にステッチをできるだけ出さないことを意識されており、その細やかなこだわりが着心地を極限まで高めているのです。
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服の作り方の違い
以上が、服の作りの違いになります。
もしかしたらまだ、
「違いっていってもそんなもの?じゃUNIQLOでいいか」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
後半では、服の作り方に関わる一番大きな違いについて、考えていきます。