谷家屋 -Valley Kazoku Ya - | 奈良県上牧町のセレクトショップ (洋服・小物)

2021/06/18 17:00


服の作り方の違い


前編に続き、ここからは服の作り方に関わる一番大きな違いについて、考えていきます。


その違いとは、ブランドの根底にあるコンセプトの部分です。


適正価格の上質な商品を目指している山内に対し、コストパフォーマンスの高さで現在最高得点を叩き出しているのがUNIQLOと言えます。


コストパフォーマンスが高いことが最も重視される今の時代、特に日本で、UNIQLOが人気を得ることは必然的と言えます。




UNIQLOのすごさは、Tシャツがわかりやすい例です。


個人でTシャツの生地を買おうとするとそれだけで1000円以上はかかりますが、UNIQLOの「UNIQLO U クルーネックTシャツ」は税込1000円。


その1000円の中には当然生地代だけでなく、生地の裁断、縫製、輸送、店頭販売の人件費、EC・実店舗の運営費などが含まれているわけですから、


価格の低さが伺えます。


そしてコストパフォーマンスが高いことで、どんな人でもおしゃれを楽しむことができ、家計の負担を減らすと言う価値を持っているのです。




一方で、適正価格を目指す山内のようなブランドの価値はどこにあるのでしょうか?


これは、フェアトレードやサステナブルにも関わる話ですが、消費者である私たちのための話でもあります。


服を作るには、長い時間と様々な労力がかかります。


山内の服は種々の手間が惜しみなくかけられており、時給約1000円の日本で作ると考えると理にかなった金額です。


ここであなたに考えて欲しいのは、コストパフォーマンスが本当に全てなのか、ということです。


服には、生地感、デザイン性、機能性、着た時の高揚感などさまざまな評価軸があって、コストパフォーマンスは本来その中の一つに過ぎないはず。


しかし現在は、コストパフォーマンスという一本だけの評価軸を持って服を見ている方が非常に多いのです。


加えて、コストパフォーマンスが高いということは、その分無理をしている人が作り手の中にいるということです。


それは発展途上国で服を縫っている声の小さい労働者の方かもしれませんし、素材となるコットンを育てている人かもしれません。


私たちが享受している安さは、どこかに必ず皺寄せが起こるものなのです。


「その国は賃金が日本よりも安いからでしょ?」というご意見もあるかもしれませんが、これは日本にとっても危険なことです。


実は日本の物価はどんどん下がっており、ディズニーランドの入園料も中国や香港を差し置いて世界一安い国です。


そして、UNIQLOのタグに生産国として書かれた「中国」の文字を見なくなったように、発展途上国は発展し、賃金も上がっていきます。


このまま日本の物価が下がり続ければ、「日本よりも賃金が低い国」がなくなる未来が来るのは至極現実的な話です。


安くできるからと国外に生産を頼っている現在、国内の縫製業は衰退しています。


「日本よりも賃金が低い国」が無くなり、国内で生産するしかなくなった時もう既に技術が残っていない、というシナリオは決して非現実的な話ではないのです。


また、安さを求めることが正義の社会に生きていると、あなた自身も安さを求められ、余裕のない生活を強いられることにもなります。




つまり、コストパフォーマンスを追い求めることが他人や未来に負荷を転嫁する側面があるのに対し、


適正価格を払うことはその逆で、今の技術を維持したり、社会全体を無理なく回す働きがあるのです。









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最後に




これはもちろん洋服に限った話ではなく、スーパーに並んでいるチョコレートや自動販売機で売っているコーヒー、窓の外を走っている車など、全ての商品において共通していることです。




価格を安くすることは、より多くの消費者がその商品を手に取ることを可能にし、生活を豊かにすることに貢献しています。


それは決して悪ではなく、否定するべきものではありませんが、負の側面を持っているのも事実です。


「オーガニックのものやエシカルなものは値段が高くて買えない」と言われますが、もしかするとそれで買えないものは本来買うべきではないのかもしれません。


谷家屋が取り扱っているのは服ですが、服でなくても、せめて本人が好きなものに関しては適正価格を払おうという意識が少しでも広まればと考えております。


ここまでお読みいただいたあなたは、そのような意識の高い方かと思います。


この記事を読み終わった後のお買い物ではぜひ、「安い」以外の基準を持ってみるのはいかがでしょうか?


それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。


素敵な1日をお過ごし下さいませ。




谷家屋

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